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Fancy Granny Storiesおしゃれなおばあちゃんのお話14
この日、
おばあちゃんは、ある男の子に出会いました。
ポピーちゃんをいつも、
ぷりぷり怒らせたり、
しくしく悲しませたり、
なかなか笑顔になれない男の子です。
出会ったしゅんかん、
おばあちゃんは男の子にかけよりました。
おばあちゃんには
見えていたんです。
大きく、おそろしく見せている姿の下に
小さくうずくまっている
寂しさいっぱいの男の子が。
おばあちゃんはさっそく
男の子の心の中へ。
ポピーちゃんには
いろんな模様でいっぱいの、
大きなハートが見えました。
そう、おばあちゃんは心の中へ入るカギを持っているのです。
ポピーちゃん、いっしょにおいで。
かちゃかちゃ、
かちり。
ハートのドアが開きました。
おばあちゃんは、入ったドアを開けたまま
薄暗い階段を
ゆっくり、ゆっくり、
下りて行きます。
淡いろうそくのような光が
空中に浮いている、
不思議な、空間です。
振り向きもせず奥へ、奥へと下りて行くと、
世界は
どんどん、どんどん、
不思議さいっぱいになっていきます。
ポピーちゃんは、数字や文字でいっぱいの
黒い頭のひとかげに気を取られました。
おばあちゃんは、そんなものには目もくれず、
さらにどんどん、
奥へ、奥へと下りて行きます。
そのうち、
大きな恐竜や
大きなサル、
大きな三角の建物に
不思議な人々
みんながみんな、
怖い目をしている
いろんなものでごちゃごちゃの世界が。
どんどん不安と悲しさいっぱいになるポピーちゃんに
気にしない、気にしない。
もうすぐよ。
そういっておばあちゃん、
スピードを上げて
奥へ、奥へと下りて行きます。
すると、急に目の前に
ぱーーーーーーーーーーっ!
と開いた輝くハート!
おばあちゃんは大きな笑顔になって、
すかさずハートに優しくさわりました。
ポピーちゃんもあとに続いてさわってみます。
ほんわか
あったかく、
なんともやさしさいっぱいの
そのハート。
びっくりしたポピーちゃんは
それが
いつもいじわるな
男の子の心のあたたかさだ、と気が付きました。
みんなにあるのよ、
このハート。
おばあちゃんはそう言うと
手から同じハートをいっぱいのばして
びゅーーーーーーーーーーん!
と、一瞬のうちに
お空へ大きく飛び出しました!
ポピーちゃんは、
わくわくわくわくしました!
そう、
男の子の怖い顔は
いっぱいの寂しさを隠すための、
お面だったのです。
そして
あんなにあたたかくてやさしいハートが
ポピーちゃんの心の中にも
みんなの中にもある、
そう気がついたからです。
そして、
みんなに教えてあげたくなりました。
そこでハートのお手紙にして
男の子にも、
学校のお友達にも
道で会う知らない人にも、
みんなにあげたくなりました。
そして
ポピーちゃんも自分の心のカギを見つけたくなりました。
おばあちゃんはどんな風にカギを見つけたの?
おばあちゃんは笑顔で言います。
うふふ。
必ず分かるわよ。
見つけた時はおばあちゃんを心の旅へ
連れて行ってね♪
Fancy Granny Storiesおしゃれなおばあちゃんのお話10
ほんのり
ぽかぽか
暖かい季節の真ん中で
おしゃれなおばあちゃんはお花になった気分のようです。
小さな両手に小さな絵本。
おばあちゃんはお花の上で
ふわふわ
ゆったり。
静かな池の上に座っていると
何やら遠くでおばあちゃんを呼ぶ声がしてきます。
ゲロゲロ、
ケロケロ、
こっちへ来ない?
おばあちゃんは
ぴょん!
一緒にいたポピーちゃんとチューリップちゃんが
カエルさんを見たとたん、
カエルさんがゲロゲロ、
二人はおばあちゃんの後ろで
きゃーーーーー!!!
おばあちゃんは
何も言わずに
カエルさんににっこり。
カエルさん、何か楽しいことはあったかしら?
あたし今日はこんなに小さくなって
あなたに会いに来てみたよ!
カエルさんも嬉しそうににっこり。
ポピーちゃんとチューリップちゃんも
ほっと安心して
にっこり♥
カエルさんに連れられて
カシのお花の木陰を覗いてみます。
するとそこには
小さなおしゃれなカエルさんや
素敵なうずまきの殻を身につけた
かわいらしいかたつむりさんも
みんなで楽しくおしゃべりをしています。
みんなが言うことには
この辺りにはラズベリーがたくさんあって
他のどこにも見つけられないほど、
本当に美味しいのだそうです。
見つけてごらん、
とみんなが言葉にする前に
おばあちゃんは
あ、と言う間に
背の高いユリの花の上へ
ひとっ飛び!
ユリの上から見える景色は
赤や緑の可愛いおうちに
明るい緑の山の肌。
そうそう、今は春なのね♪
おばあちゃんがつぶやくと、
ぶーーーーん★
あ、美味しい蜜をこしらえる
ハチさんたちが
頭の上を飛んでいきました。
今度はハチさんたちについていくと
なんとまーーーーー!!!
赤い大きなラズベリーが
大きく茂った緑の枝にたくさん、たくさん
なっています!
おばあちゃんは
おもいっきり
一番真ん中の大きなラズベリーに飛び乗りました。
頬にラズベリーの粒をくっつけながら
とろける甘酸っぱいラズベリーの美味しさに
おばあちゃんの笑顔もとろけそう!
ハチさんたちもここでもそこでも
ぶーんぶん!
とっても楽しそうに
お花の花粉を
集めています。
ふと、上の葉を見ると青虫さんが
おばあちゃんにニッコリ笑いかけ、
口いっぱいのラズベリーに嬉しそうにしている
おばあちゃんを優しそうに見つめています。
青虫さんに気づいたおばあちゃん、
美味しいラズベリーの粒を
あなたもお好き?さあ、どうぞ♪
青虫さんは
僕ははっぱの方が好きなんだ♪
おばあちゃんは嬉しくなって言いました。
そうね、好きなものはみんな違うのね♪
みんな違って楽しいね♪
するとそこに
ピーピー、チチチ!
あたたかい春の愛の歌が聞こえてきました。
鳥さんたちが
素敵なパートナーを探しているようです。
あ、二羽のおしゃれな鳥さんが
綺麗な声で歌を歌って
おいかけっこをしています!
おばあちゃんとポピーちゃんは
木の後ろに
さっと隠れて
おばあちゃんが
ポピーちゃんに
しーーーー!
ポピーちゃんはとっさに口を抑えて
静かに一緒に見ていると
二羽の鳥さん、どんどん近くに寄り添い始め
綺麗な歌声で一緒に合わせて歌っていると
ハートの形ができてきました!
まーまー、なんて可愛らしいんでしょーーー!
いくつもできたハートの形は
二羽の鳥が一緒に飛び立つお手伝いをしているようです。
そっと寄り添った鳥さんたちが
ぱ!
と一緒に飛び立つと、
おばあちゃんとポピーちゃんもすっかり舞い上がって
一緒に
ぱ!
と飛び出しました。
二羽の鳥さんたちが
嬉しそうに
声をかけてくれています。
今から雲の上までどんどん行って
高く、高く
上がってみるよ!
雲の上は楽しいよ!
そこでおばあちゃんとポピーちゃん、
雲の道を駆け上がりました。
丘を越えて、
山を見渡し、
たくさんの木々は
まるでカラフルなモザイク模様のように見えてきて、
おばあちゃんは楽しくなって歌い始めています。
ほら、聞こえてきますよ、
おばあちゃんの歌声が!
ルンルン、
ラララ
爽やかな
春の暖かい風の中を
ふわふわと浮かぶ雲の上に
小さなおばあちゃんとポピーちゃんが
ぴょんぴょん、
ぴょんぴょん。
上へ、上へと上がって行きます。
下に見えるたくさんの森や山を
高みから自由に幸せな気持ちいっぱいで
見下ろしながら。
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